AIエージェントを「自己進化」させる仕組み - Zenn
分析結果
- カテゴリ
- AI
- 重要度
- 78
- トレンドスコア
- 42
- 要約
- AIエージェントを「自己進化」させる仕組み ナレッジセンス - 生成AIとRAGの実装戦略・技術ブログ ナレッジセンス - 生成AIとRAGの実装戦略・技術ブログ Publicationへの投稿 ChatGPT 生成 AI RAG AIエージェント 法人向けRAG tech 本記事では、AIエージェントを自己進化させて性能を高める手法について、ざっくり解説します。 株式会社ナレッジセンスは、「エンタープライズ企業の膨大なデータを掘り起こ
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AIエージェントを「自己進化」させる仕組み ナレッジセンス - 生成AIとRAGの実装戦略・技術ブログ ナレッジセンス - 生成AIとRAGの実装戦略・技術ブログ Publicationへの投稿 ChatGPT 生成 AI RAG AIエージェント 法人向けRAG tech 本記事では、AIエージェントを自己進化させて性能を高める手法について、ざっくり解説します。 株式会社ナレッジセンスは、「エンタープライズ企業の膨大なデータを掘り起こし、活用可能にする」プロダクトを開発しているスタートアップです。 この記事は何 この記事は、訓練データなしでAIエージェントを自己進化させる手法「Dr. Zero」の論文 [1] について、日本語で簡単にまとめたものです。 https://arxiv.org/abs/2601.07055 今回も「そもそもAIエージェントとは?」については、知っている前提で進みます( 参考 )。 本題 ざっくりサマリー Dr. Zeroは、「AIエージェント」を訓練データなしで進化させるための手法 です。Meta社とイリノイ大学の研究者らによって2026年1月に提案されました。 ここで言う「AIエージェント」とは、例えばOpenAIの「Deep Research」や「Claude Code」のような、検索エージェントです。 実は、検索エージェントを作るのは、かなり難しいです 。知りたい情報を「いい感じに」見つけてくるエージェントを作るには、がっつり、 LLMを訓練 する必要があります。 ただ、当然ですが、訓練用の大量のデータには、莫大なコストがかかります。 [2] しかし、今回のDr. Zeroという手法は、データ不要で、LLM単体で、自己進化させるための手法を提案しています。ざっくり言うと、 同じLLMを、問題を「出す側」と「解く側」に分けます 。これらを、相互作用的に進化させることで、性能を向上させます。 [3] 問題意識 「AIエージェント」の機能を自分で実装しようとすると、精度を上げるのが大変です。 というか、OpenAI社の天才たちが構築した「エージェント」ですら、いざ使ってみると「期待通りに動かない」ってことはよくあります。 そもそも、AIエージェントの精度を上げるには、大量の高品質な訓練データが必要です。ただ、学習データを人間が用意するとなると、膨大なコストがかかります。 じゃあ「 AIに自分で問題を作らせて、自分で学習させればいいのでは? 」という発想がありますが、これまでの研究では、AIは、自分のための「ちょうどいいレベル」の問題を作るが難しい、という問題がありました。 あとはGPUのコストも有限なので、「 いかに効率よく学ばせるか 」ということも、重要な論点でした。 手法 Dr. Zeroでは、「Proposer(=出題者)」と「Solver(=解答者)」が互いにフィードバックを与え合いながら進化していく 仕組みを提案しています↓ 具体的な手順は以下です。 同じLLMの役割を分ける 同じLLM(Qwen-2.5)を「Proposer(出題者)」と「Solver(解答者)」に分ける Proposerが質問を生成、Solverはそれを解く (例:「AとBの関係を検索して教えて」みたいな、検索ツールを使う質問を大量に生成して、大量に解いていきます) 難易度ガイド付きの報酬 Proposerに「ちょうど良い難易度の問題を出す」インセンティブを与える Solverが「全問正解→報酬低い」(簡単すぎ)。逆に「全問不正解→報酬低い」(難しすぎ) Solverが一部だけ正解→報酬高い これにより、Proposerは「Solverの実力に合わせて、ちょうどよい難問」を出し続ける HRPOで効率化 前提として、従来手法(GRPO)だと計算コストが膨大という課題があります (→「たまたまいい回答ができてしまった」みたいなことを防ぐために、各質問ごとに、Solverには複数回、回答を作らせますが、それは当然毎回、GPUを使います) そこで、「HRPO」という手法を開発。「質問の複雑さ」(=回答に必要な検索ステップ数)ごとにグループ分けして評価する Dr. Zeroのキモは、AI同士に「適切なレベル」のゲームを続けさせる仕組み です。人間が介入しなくても、AI自身が検索エンジンを使って裏取りをしながら問題を作るため、嘘のない、ちょうどいいレベルのデータを、大量に用意できます。そして、「大量に用意する」だけでは延々に学習が終わらないので、効率化手法も実装しています。 成果 7つのQAベンチマーク(NQ、TriviaQA、HotpotQAなど)において、訓練データを使った教師ありベースライン(Search-R1)と同等以上の性能を達成 特に単純な1ホップタスク(NQ、TriviaQA、PopQA)では、教師ありベースラインを最大22.9%上回る結果 既存のデータフリー手法(R-Zero)と比較して、平均27.3%の性能向上 HRPOにより、計算コストを約4分の1に削減しながら、同等の性能を維持 限界 とはいえ、今の仕組みだと「無限に性能を伸ばすことはできない」という限界も報告されています。これが起きる理由は、 ①Solverの解法が凝り固まるため。学習が進むとSolverのエントロピー(出力の多様性)が急激に低下し、同じパターンの解法しか出さなくなる ②イテレーションを繰り返すとtoken ID の不整合が起き始めるため。(※ただこの点、詳しく書かれておらず、どういうことなのか、正直に言って謎です) と、まとめられています。 まとめ 弊社では普段から、エンタープライズ向けに生成AIサービスを開発しています。大企業のみなさまからも、かなり「AIエージェント」は期待されていますが、現在の実態としては、技術的な壁があり「イマイチ」な精度になってしまうことがほとんどです。 ただ、今回のDr. Zeroのように「自己進化」できる手法が実用化されれば、「社内ドキュメントさえあれば、AIが勝手にそこからクイズを作り、勝手に賢くなってくれる」という状態を実現できます。特に、「 この情報は、このフォルダを見に行かないと分からない 」みたいな社内ルールが複雑なエンタープライズ環境において、活躍が期待できます。 みなさまが業務でRAGシステムを構築する際も、選択肢として参考にしていただければ幸いです。今後も、RAGの回答精度を上げるような工夫や研究について、記事にしていこうと思います。我々が開発しているサービスは こちら 。 脚注 "Dr. Zero: Self-Evolving Search Agents without Training Data ", Yue et al. ↩︎ 例えばOpenAIでは、AIエージェントとしての性能を向上させるために、元コンサルやPhDの学生などを大量に動員してデータを構築していると報道されています( リンク ) ↩︎ (個人的には、「AlphaGo」的な世界観で、とてもワクワクします。) ↩︎ Atsushi Kadowaki ナレッジセンス CEO ← 東大 / エンタープライズ向け生成AIプロダクトで成長中のスタートアップ(2019年~) / ソフトウェアエンジニアを募集中(800万円~)→DM開放中 / 好きな言葉は「実験と学習」/ 最新の生成AI 事情に少し詳しいです ナレッジセンス - 生成AIとRAGの実装戦略・技術ブログ Publication 株式会社ナレッジセンスは、「大企業の知的活動を最速にする」をミッションに掲げ、社内データ検索ができるAIチャットボットを開発・提供しているスタートアップです。このブログでは、LLMや検索技術、RAGの実装戦略について知見を共有します。生成AIやRAG技術を使って最高品質の実装をしたいエンジニア向けのコンテンツです Discussion Atsushi Kadowaki ナレッジセンス CEO ← 東大 / エンタープライズ向け生成AIプロダクトで成長中のスタートアップ(2019年~) / ソフトウェアエンジニアを募集中(800万円~)→DM開放中 / 好きな言葉は「実験と学習」/ 最新の生成AI 事情に少し詳しいです 目次 この記事は何 本題 ざっくりサマリー 問題意識 手法 成果 まとめ