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量子コンピュータの正しい理解にもとづいた量子機械学習の最前線レポート | AI専門ニュースメディア AINOW

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分析結果

カテゴリ
AI
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30
要約
量子コンピュータの正しい理解にもとづいた量子機械学習の最前線レポート | AI専門ニュースメディア AINOW HOME / AINOW編集部 /量子コンピュータの正しい理解にもとづいた量子機械学習の最前線レポート 2022.04.24 量子コンピュータの正しい理解にもとづいた量子機械学習の最前線レポート 目次 前書き この記事の要約 量子コンピュータの工学的特徴 動作原理から見た量子コンピュータと古典的コンピュータの違い 量子コンピュ
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量子コンピュータの正しい理解にもとづいた量子機械学習の最前線レポート | AI専門ニュースメディア AINOW HOME / AINOW編集部 /量子コンピュータの正しい理解にもとづいた量子機械学習の最前線レポート 2022.04.24 量子コンピュータの正しい理解にもとづいた量子機械学習の最前線レポート 目次 前書き この記事の要約 量子コンピュータの工学的特徴 動作原理から見た量子コンピュータと古典的コンピュータの違い 量子コンピュータ実用化を目指す4つのアーキテクチャ 量子コンピュータが得意な演算 量子コンピュータ市場の成長予測 量子コンピュータをめぐる資金の流れと想定応用分野 現在は資金調達のフェーズ 量子コンピュータが応用される4大分野 量子コンピュータ開発の現状 開発競争に参加する各国企業 実用化までの道のり 有力企業の開発進捗 量子機械学習とは何か 「量子機械学習」が意味すること 量子機械学習の研究事例 量子コンピュータはAGI実現のオルタナティブ? 量子コンピュータと量子機械学習の未来 前書き 最近テック系ニュースでよく見かけるようになった量子コンピュータについて、その印象を聞かれると「爆速で処理する新型コンピュータ」と答えたくなる人は少なくないように思われます。また、時々耳にするようになった量子機械学習についても、「量子コンピュータを使って爆速で実行する機械学習」という印象を多くの人が持っているのではないでしょうか。 以上の印象は間違っていませんが、多少の誤解を含んでいます。この記事では量子コンピュータに関する誤解を払拭したうえで、量子機械学習研究の最前線を紹介します。 この記事の要約 この記事は、量子コンピュータを正しく理解するためにその動作原理のみならず、市場動向や開発進捗についてまとめた後に、量子機械学習研究の最前線を眺望します。こうした構成のため、全文を読むには少なくない時間と労力を要してしまいます。それゆえ、この記事を簡単に理解するために、はじめに内容を以下のような 5つの観点に分けたうえで箇条書き にしました。各観点を詳述している見出しも明記しましたので、 興味に合った見出しだけを読むことも可能 です。 量子コンピュータの工学的特徴 (見出し『量子コンピュータの工学的特徴』を参照) 量子コンピュータとは「圧倒的な処理速度のコンピュータ」ではなく、「重ね合わせ」と「干渉」という量子力学的現象を演算に応用した 古典的コンピュータとは動作原理が異なる計算装置 。 量子コンピュータは複数の状態を重ね合わせて演算できるため、 組み合わせ最適化のような特定の問題 を解決する場合、古典的コンピュータにくらべて圧倒的に処理過程を削減できる。 量子コンピュータ市場の動向 (見出し『量子コンピュータ市場の成長予測』および『量子コンピュータをめぐる資金の流れと想定応用分野』を参照) 量子コンピュータ市場は 成長が予想 されている一方で、研究開発はまだ黎明期にあるため、本格的な普及期の前に 一時的な低迷期を経験 する可能性がある。 世界各国が量子コンピュータ開発に 公的資金を投入 する一方で、 アメリカでは量子ビジネスの起業 がさかん。 特定の演算が得意なことから量子コンピュータの応用分野として、 化学、製薬、自動車製造、金融 が想定されている。 量子コンピュータの開発進捗 (見出し『量子コンピュータ開発の現状』を参照) 量子コンピュータの重要な性能指標として量子ビット数があるが、現在実現している 最多の量子ビット数は127 。 実用化に必要な量子ビット数が100万以上 なので、実用化までには幾多の困難があるだろう。 量子ビット数が少ない量子コンピュータと古典的コンピュータを組み合わせた ハイブリッド量子コンピュータの研究開発 も進んでおり、同コンピュータの応用は2020年代には普及すると予想される。 量子機械学習とは何か (見出し『量子機械学習とは何か』を参照) 量子機械学習とは、量子コンピュータで実行できるように 動作原理の違いを考慮して移植された機械学習アルゴリズム のこと。 量子機械学習は古典的機械学習より優れていることを意味する 量子超越性 が証明されることで、その価値が確かなものとなる。 現在、量子カーネル法のような量子機械学習に加えて、量子CNNのような 量子ディープラーニングの研究 も進んでいる。 量子コンピュータと量子機械学習の未来 (見出し『量子コンピュータと量子機械学習の未来』を参照) Google等の量子コンピュータ開発をリードする企業のロードマップをふまえれば、量子コンピュータの社会実装が進む 本格的な量子の時代は2030年代 になる見込み。 ハイブリッド量子コンピュータの活用は数年以内 に始まり、今後は同コンピュータを使った量子機械学習のPoCがさかんになるだろう。 量子コンピュータと量子機械学習の研究開発は一時的な低迷期を経るかも知れないが、その ポテンシャルを信じて見守りとフォローアップ が肝要。 量子コンピュータの工学的特徴 量子機械学習について論じる前提として、まずは量子コンピュータの工学的特徴をまとめていきます。なお、まとめるにあたっては量子コンピュータの研究開発者が一般読者向けに執筆した書籍『 量子コンピュータが本当にわかる! ― 第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性 』(以下、「量子コンピュータ読本」と表記)を参考にします。 動作原理から見た量子コンピュータと古典的コンピュータの違い 量子コンピュータの工学的特徴を理解するには、「そもそもコンピュータとは何か」という原理的な問いかけに立ち戻る必要があります。コンピュータ(computer)とは英単語で「計算する」を意味する「compute」を語源とした言葉であり、あえて和名的に訳せば「計算装置」という表現がふさわしいでしょう。私たちの周りにある半導体を内蔵した電化製品やスマホのような実用品の制御は、コンピュータの演算処理によって実現しています。 ところで、なぜ計算が道具を使って実行できるのでしょうか。この疑問に答えるために、子供がおはじきを使って計算を覚える経験を思い返してみましょう。おはじきを使った計算とは、1個のおはじきで数字の1を表したり、10個のおはじきで数字の10を表したりすることで、数字の認識をおはじきの数という物理的状態に対応付けています。数字の認識を物理的状態に対応付けてしまえば、一定のルールにしたがって物理的状態を変化させることで演算が可能となります(演算のルールは「 アルゴリズム 」と呼ばれます)。 古典的コンピュータも、演算処理を物理的状態に対応付ける点において、おはじきを使った計算と同じ仕組みを共有しています。古典的コンピュータとおはじきの計算が異なるのは、対応付ける物理的状態です。古典的コンピュータにおいては任意の電子回路のスイッチがON(通電)となっている物理的状態を数値の1、OFF(切断)となっているそれを数値の0に対応付けたうえで、1と0を組み合わせてすべての演算処理を実行しています。こうした1と0のみを構成要素とする情報がデジタル情報です。一見すると共通点がないように見える動画の再生や会話AIの返答も、デジタル情報の演算によって実現するという点で共通しています。 量子コンピュータは、 古典的コンピュータとは異なる物理的状態を用いて演算処理を実行 します。量子コンピュータが用いる物理的状態とは、物質を構成する原子や分子の挙動を体系化した量子力学に関わる現象です。具体的には 「重ね合わせ」と「干渉」 を用いて演算処理を実行します。 量子コンピュータにおける重ね合わせとは、 複数の物理的状態が水面に広がる無数の波のように同時に存在 している状態を意味します。そして干渉とは、 複数の波が重なり合って新たな波紋を浮かび上がるようにして、特定の物理的状態を特定 することです。量子コンピュータは、重ね合わせと干渉を使うことで複数の物理的状態から演算処理の解となる特定の物理的状態を絞り込んでいるのです。 動作原理の違いが、量子コンピュータと古典的コンピュータの演算処理における決定的な違いを生みます。その違いとは 古典的コンピュータが逐次的に処理しなければならない複数の物理的状態を、量子コンピュータは一度に処理 できるところです。こうした違いは、迷路の脱出ルートを古典的コンピュータと量子コンピュータの双方に探索させると明確になります。古典的コンピュータを使って脱出ルートを探すシンプルかつ確実な方法は、すべてのルートをひとつずつ調べたうえで脱出ルートを特定する、というアプローチです。対して量子コンピュータを使えば可能なルートをすべて重ね合わせたうえで、干渉を用いて脱出ルートだけを取り出せばよいのです。重ね合わせにより選択可能なルートをすべて並行して探索できるので、逐次的処理が生じる古典的コンピュータによる脱出ルート探索に比べて、量子コンピュータによる探索は圧倒的に処理を減らせます(下の画像を参照)。 画像出典: 量子コンピュータ読本 第1章「誤解2:量子コンピュータは並列計算するから速くなる?」より引用 迷路の脱出ルート探索でわかるのは、量子コンピュータは古典的コンピュータに比べて処理速度が速いわけではないことです。 量子コンピュータの演算処理が速いのは、処理過程が古典的コンピュータより少なくて済むから なのです。 とはいうのも、量子コンピュータはあらゆる演算処理において古典的コンピュータより速いわけではありません。量子コンピュータは、特定の演算処理において古典的コンピュータを凌駕するのです。こうした量子コンピュータの得意な演算に関しては、後述します。 量子コンピュータ実用化を目指す4つのアーキテクチャ 前述のように量子コンピュータは、量子力学における重ね合わせと干渉を使って演算処理を実現します。もっとも、こうした量子力学的現象を実現する機械的な仕組みに関しては、まだひとつに絞り込まれていません。現在、量子コンピュータを実用化できそうなアーキテクチャには 超電導回路方式、イオン方式、半導体方式、光方式の4つ が知られており、それぞれの特徴は以下の表のようにまとめられます。 量子ビットの表し方 利点 欠点 代表的な採用組織 超電導回路方式 超電導状態の電気回路の2通りの状態 エラー率1%以下 集積化可能 量子ビットが不安定 冷凍機が必要 ・Google ・IBM イオン方式 イオン1個内の電子の軌道への2通りの入り方 エラー率1%以下 量子ビットが安定 一部の演算が低速 真空容器が必要 ・IonQ 半導体方式 半導体基板内に閉じ込めた電子1個が持つ磁石の2通りの向き 高密度に集積化可能 エラー率がまだ高い 冷凍機が必要 ・Intel ・理化学研究所 光方式 光子1個の2通りの波の振動方向 室温・大気中で動作 演算が高速 エラー率がまだ高い 一部の演算が確率的 ・中国科学技術大学 ・Xanadu Quantum Technologies ・NTT GoogleやIBMが採用している超電導回路方式がやや優勢 ですが、ほかの3つのアーキテクチャによって量子コンピュータが実用化される可能性も十分にあります。裏を返せば、 量子コンピュータ設計における標準的なアーキテクチャはまだ存在しない のです。 標準的なアーキテクチャが存在しないからといって、量子コンピュータの実用化を危ぶむのは早計です。古典的コンピュータの標準的なアーキテクチャであるトランジスタを使った集積回路が誕生するまでには、今日では使われてないようなアーキテクチャが採用されていました。例えば、黎明期のコンピュータとして知られる ENIAC には電子回路の部品として真空管が採用されており、デバイスのサイズはビルのワンフロアを占めるほどでした。 トランジスタを採用した標準的なアーキテクチャが確立されてからは、古典的コンピュータの性能は「 ムーアの法則 」で知られるような飛躍的な成長曲線を描くようになりました。ひるがえって 量子コンピュータは、まだ古典的コンピュータにおけるENIACのような段階 にあります。しかしながら、以上に挙げた4つのアーキテクチャのいずれかが進化して標準的なアーキテクチャが確立されれば、量子コンピュータの性能もムーアの法則で語られるような成長曲線を描くかも知れません。 量子コンピュータが得意な演算 前述のように量子コンピュータは古典的コンピュータと比べて圧倒的に演算処理を減らせる一方で、そうした 真価を発揮できるのは得意な処理に限られます 。量子コンピュータが得意な処理には以下の表にまとめたようにグローバーの解法、ミクロな化学計算の解法、ショアの解法、そして連立一次方程式の解法などが知られています。 解決するタスクの特徴 計算高速化のポイント 応用タスク グローバーの解法 無数の検索候補から適切なものを抽出する 重ね合わせて並列処理+干渉で絞り込み ・データベース検索 ・組み合わせ最適化問題 ミクロな科学計算の解法 電子の振舞いを正確にシミュレート 量子コンピュータは電子が従う量子力学のルールを自然に表現できる ・機能性材料や薬の開発 ショアの解法 大きな数の素因数分解 重ね合わせと干渉を使った量子フーリエ変換で周期を高速に見つける ・暗号解読 連立一次方程式の解法 連立一次方程式の解を特定 数の足し引きを波の足し引きに置換して計算 ・シミュレーション ・制御 ・ 機械学習 ・データ分析 ・画像処理 以上に挙げたもの以外を知りたい場合は、量子コンピュータが得意とする演算をまとめたウェブサイト「 Quantum Algorithm Zoo 」を参照するとよいでしょう。こうした演算は現在でも研究されており、今後も増えると考えられます。 量子機械学習を論じるこの記事において注目すべきは、量子コンピュータの応用が想定される事例として、機械学習や画像処理が挙げられるところでしょう。実際、AI業界をリードするGoogleは、すでに 量子技術をAIに応用するフレームワークとして TensorFlow Quantumを提供 しています(ただし現在使えるのは、ハイブリッド量子技術)。また、Googleの量子コンピュータ研究を一躍有名にした「世界最速のスーパーコンピュータでも 1 万年かかる計算をわずか 200 秒で実行した」 ニュース に関連して、同社のサンダー・ピチャイCEOが発表したブログ 記事 では、 2006年に機械学習の演算を加速する目的で量子コンピュータの研究が始まった と明記されています。Googleの動向からもわかるように、 量子コンピュータとAIは親和性が高い のです。 量子コンピュータ市場の成長予測 量子コンピュータは得意な演算において圧倒的な性能を発揮することから、まだ実用化されていないにもかかわらず、市場からは高い評価を受けています。例えば調査会社IDCは2021年11月、世界の量子コンピューティング市場に関する予測を 発表 しました。その発表によると、同技術に対する顧客支出が 2020年の4億1,200万ドルから2027年には86億ドルに増加 すると予測され、2021年から2027年までの予測期間における6年間の 年平均成長率(CAGR)は50.9% に達すると見込まれています。 また矢野経済研究所は2021年10月、日本国内の量子コンピュータ市場の成長予測を 発表 しました。その発表によれば、2021年度の同市場の規模は139億4,000万円と見込まれていました(発表当時)。そして、 2025年度には550億円、2030年度には2,940億円 に達するものと予測されています(以下のグラフを参照)。 画像出典:矢野経済研究所プレスリリース「 量子コンピュータ市場に関する調査を実施(2021年) 」より 以上のような量子コンピュータ市場の今後数年にわたる右肩上がりの成長予測がある一方で、調査会社Garterは量子コンピュータに関するハイプ・サイクルを発表しました。 ハイプ・サイクル とは特定の技術が社会実装される過程を視覚化した図であり、一般に 技術が普及する過程では社会からの注目度が浮沈 することを表しています。 2021年8月に公開された同社の「 先進テクノロジのハイプ・サイクル:2021年 」を参照すると、量子コンピュータに関係する 「量子ML(量子機械学習)」が主流の技術になるまでに10年以上を要する「黎明期」にプロット されていました(下の図を参照)。量子コンピュータ自体もまだ実用化されていないことから、ハイプ・サイクルにおける黎明期にあると見なすのが適切でしょう。 画像出典:Gartnerプレスリリース「Gartner、「 先進テクノロジのハイプ・サイクル:2021年 」を発表」 ハイプ・サイクルにもとづけば、量子コンピュータとその関連技術は黎明期を脱すると「過度な期待」のピーク期、そして幻滅期を経て正しい理解に裏付けられた成長期に移行すると考えられます。こうした推移を考慮して現在の量子コンピュータに関する市場予測をとらえ直すと、誤解にもとづいた過大評価が混入している可能性があります。そして、過大評価の反動として 量子コンピュータに幻滅する「量子の冬」が訪れるシナリオも想定 できるのです。 現在社会実装が進み安定成長期に入っていると考えられるAIの歴史を振り返ると、2度の冬を乗り越えてきたのは周知の通りです。AIでさえ冬の時期があったのですから、今後の量子コンピュータの研究開発において冬が到来することは十分にあり得ることです。しかしながら、かりに「量子の冬」が訪れたとしても、すべての可能性を放棄せずに冷静に動向を見守るのが適切な対応でしょう。 量子コンピュータをめぐる資金の流れと想定応用分野 量子コンピュータには得意な演算があることから、そうした演算によって可能となる応用がすでに想定されており、応用に向けた量子コンピュータの開発競争も進んでいます。以下では、量子コンピュータ開発資金の動向と想定応用分野についてまとめます。 現在は資金調達のフェーズ 調査会社マッキンゼーが2021年12月に発表したレポート記事「 量子コンピューティングのユースケースが現実味を帯びてきた ― 知っておくべきこと 」によると、量子コンピュータ研究開発はまだ黎明期にあるため、多額の公的資金が投じられています。そうした資金を国別に見ていくと、 中国が150億ドルともっとも多く 、次いでEUの72億ドル、アメリカの13億ドルと続きます。 日本は10億ドルでインドと同等 です。EUの公的資金源となっている加盟国はドイツが41.9%ともっとも多く、次に多いのがフランスの28%です(下のグラフを参照)。 なお、後述するようにアメリカにはすでに多数の量子コンピュータ企業が存在しており、こうした企業には公的資金ではなく民間ベンチャーキャピタルのそれが投じられていると考えられます。 マッキンゼー「 量子コンピューティングのユースケースが現実味を帯びてきた ― 知っておくべきこと 」にもとづいて著者がグラフ作成。グラフの単位は億ドル。 マッキンゼー「 量子コンピューティングのユースケースが現実味を帯びてきた ― 知っておくべきこと 」にもとづいて著者がグラフ作成 量子コンピュータが応用される4大分野 資金の動向に続いてマッキンゼーのレポートは、量子コンピュータの想定応用分野として 化学、製薬、自動車製造、金融 を挙げています。具体的には2035年までに化学では1,000~3,000億ドル、製薬では2,000~5,000億ドル、自動車製造では2,200~5,800億ドル、金融では2,800~7,000億ドルの市場価値が生じると予想されています(下のグラフ参照)。 マッキンゼー「 量子コンピューティングのユースケースが現実味を帯びてきた ― 知っておくべきこと 」にもとづいて著者がグラフ作成。グラフの単位は億ドル。 各応用分野における影響は、以下の表のようにまとめられます。 分野 量子コンピュータ導入の影響 化学 新物質の開発スピードの向上。炭素排出量の抑制に活用できる物質の発明の可能性が高まる。 製薬 新薬の開発スピードの向上。医薬品のサプライチェーンの改善も期待される。 自動車製造 ロボットによる製造工程に関する経路計画の最適化。こうした最適化により、製造コストの削減が見込まれる。 金融 ポートフォリオとリスク管理の最適化。こうした最適化により貸付金の金利が適正な値に設定されて、より多くの資本が市場に解放される。 量子コンピュータ開発の現状 市場評価も高くその応用も想定されている量子コンピュータは、まだ研究開発段階にあり実用化には至っていません。実用化をめぐって、世界各国の企業がしのぎを削っているのが現状です。以下では、量子コンピュータ開発に参入している企業と開発進捗についてまとめます。 開発競争に参加する各国企業 まず日本では2021年9月1日、量子関連の産業・ビジネスの創出を目的とした企業団体「 量子技術による新産業創出協議会 (英語名はQuantum STrategic industry Alliance for Revolution、通称Q-STAR)」が設立されました。同団体が公開している2022年4月1日付の 会員名簿 には、15の特別会員、13の法人会員、8の準法人会員、20の賛助会員が名を連ねています。特別会員にはトヨタ自動車株式会社や富士通株式会社が含まれています。 世界に目を転じると、英語版Wikipediaの「 量子コンピューティングあるいはコミュニケーションに関わる企業のリスト 」(2022年3月21日更新版)に量子コンピュータ開発企業がまとめられています。このリストには世界各国の94の量子コンピュータ関連企業がリストアップされており、国別に見た企業数は以下のグラフのようになります。グラフからわかるように アメリカが他国を圧倒しており、日本は上位国 に属しています。アメリカの量子コンピュータ開発企業にはGoogle、IBM、Microsoftのような大手テック系企業に加えて、2015年に創業したIonQのような量子コンピュータのスタートアップなどがあります。 英語版Wikipedia「 量子コンピューティングあるいはコミュニケーションに関わる企業のリスト 」にもとづいて著者がグラフ作成 実用化までの道のり 量子コンピュータをめぐっては「量子コンピュータはいつ実用化されるのか」という疑問がよく聞かれます。この疑問に答えるために言及される指標として、量子ビットがあります。 量子ビットとは量子コンピュータにおける演算処理で使われる最小単位のことであり、古典的コンピュータにおけるビットに相当 するものです。前出の量子コンピュータ読本によれば、 実用に耐えうる量子コンピュータには100万から1億以上の量子ビットが必要 となります。しかしながら、後述するように現在開発中の量子コンピュータの量子ビットは最大でも127であり、実用化までの道のりはまだ長いと言えます。 2022年時点で127量子ビットの量子コンピュータが、ムーアの法則に従って性能を向上させた場合、(ムーアの法則を「2年で2倍の性能」と解釈したうえで計算すると)100万量子ビットを超えるのは同法則が14回発動する28年後の2040年になります。こうした思考実験から、量子コンピュータが実用化されるまでには画期的なイノベーションが不可欠なことがうかがえます。 実用的な量子コンピュータの実現まで時間がかかることをふまえて、開発が進められているのが、 量子コンピュータと古典的コンピュータを組み合わせたハイブリッド量子コンピュータ です(※脚註1)。このコンピュータは量子コンピュータには量子ビットを用いた演算処理だけを担当させ、その他の演算処理は古典的コンピュータが担当するものです。前出のマッキ

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